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山下 文佳
外壁や屋根の塗装において、見た目がキレイに仕上がるかどうかは非常に重要なポイントです。しかし、キレイな外観はただ単に高い塗料を塗ることで実現するわけではありません。
外見の仕上がりをよくするためには、土台の『下地調整』をしっかり行うことが大前提となります。ここでは、塗装の品質を決める下地処理について説明していきます。
外壁や屋根の塗装は、劣化がある箇所や色落ちした箇所に塗料を塗れば解決というわけではありません。
下地処理とは、塗装する前に下地の状態を整える作業になります。新築または前回の塗り替えから年数が経ち建物が劣化すると、壁を触ると手に白い粉が付くチョーキングや、既存塗膜の剥離、外壁のヒビ割れ(クラック)、付帯部等は錆などが出てきます。
このまま塗装してしまうと、どんなに良い塗料を塗っても早期に剥がれてしまう恐れがあるので、新しい塗料がしっかりと付着するように塗装面を整えます。
高圧洗浄作業は、ポンプで加圧した高圧水を噴射させることによって建築物・設備・機器などに付着した汚れやカビ、古くなった塗膜を洗い流します。
洗浄が甘く、汚れが付着したままだと、塗料の密着性が悪くなり耐久年数までもたずに剥がれ落ちてしまうことがあります。
■注意点
・圧力が強すぎて物を損してしまうケースがあるので慎重に行う
・玄関灯や防犯カメラ等は避けての洗浄する
・ペアガラスという窓ガラスが二重になっているタイプは侵入しないよう避けて洗浄
・インターホンに向けて洗浄をしてしまうと水が浸入して
壊れてしまうケースもあるので、水が当たらないようにビニール養生する
■塗装しない箇所にも高圧洗浄を頼める場合も
塗装業者によっては、塗装する箇所以外にも玄関やベランダ、駐車場などの汚れが目立ちやすい場所の高圧洗浄を依頼できるケースもあります。その場合は追加料金が発生することもあるので、塗装業者と相談のうえで見積もりを出してもらいましょう。
場合によっては追加オプションとしてサービスで洗浄してくれることもあるそうなので、まずは塗装業者に問い合わせてみましょう。
外壁や屋根などのヒビ割れ部分にシーリング材を充填、塗布し、ゴムベラで平らにします。軒天井の補修はパテ等を使用します。
施工する部位によって使用する道具は変わり、主に、シーリングガン・ゴムへら・金べらを使用します。
■注意点
・塗布しすぎない
・凹凸が出ないようしっかり平らにする
ケレンの主な役割は、錆び落としや旧塗膜の除去を行うことで、サンドペーパー・サンダー・マジックロンを用いて作業を行います。また、ケレンで下地に細かい傷をつけることによって下地と新しい塗膜の密着がよくなります。
ケレン作業を丁寧に行っているか否かによって、外観の仕上がりのキレイさや塗膜の耐久性に違いが出ます。ケレンの種類と特徴を以下の通りです。
種類 | 特徴 |
---|---|
1種ケレン | 塗膜を除去することでキレイな金属面にするブラスト工法に用いられます。一般住宅にはほとんど使用されません。 |
2種ケレン | 強固に付着した塗膜だけを残し、サビや腐食がひどい塗膜を取り除く際に使用されます。 |
3種ケレン | 一般住宅に使われるケースが多いのが3種ケレンです。サビや浮き塗膜を除去しつつも、活膜は残します。 |
4種ケレン | あまりダメージのない状態の外壁に適しているのが4種ケレン。粉化物や汚れなどの除去に用いられます。 |
サイディングを塗装する際は、主に密着性に長けたシーラーを使用しますが、2回目の塗装では、表面の劣化や既存塗膜の細かな亀裂などを埋める粘度の高いフィラーを使います。ALC・RC・リシン壁は目止めとしてフィラーで施工を行う必要があります。
■目止めを行う理由
・塗料の吸い込みを抑さえて仕上がり時のムラを抑える
・吸い込みを抑さえて上塗り密着性を良くし塗料の性能をしっかり発揮させるため
ヒビ割れを補修せずに塗装すると、たとえ塗料でヒビ割れが埋まったとしても、すぐに動いてヒビ割れが出てしまいます。建物は常に動いている為、そのヒビ割れから雨水の侵入し、最悪の場合は室内に雨漏りを起こす原因となります。
既存塗膜の弱っている部分を高圧洗浄、またはケレン作業にてキレイにしないと、どんなに良い塗料で施工したとしても、剥がれたり膨れたり等の不具合を起こしてしまいます。
また、素地に合った下塗り材の選定や、塗布量を守らず中塗り・上塗りをしてしまうと同じ不具合を発生させることがあります。
現状、主流となっている通気工法の外壁の場合は、ほとんど膨れはありませんが、直貼工法で作られている場合、外壁に塗布した塗料の透湿性が弱いと外壁内に入った湿気が外に出ようとする力で、塗膜を押し上げて膨れを起こす原因となります。
また、外構や基礎等の地面から湿気を吸い上げてしまうコンクリートなどの素地に関しては、専用の下塗り材や上塗り材の選定を誤ると同様の不具合が発生します。
塗装工事で下地処理は必要不可欠な作業です。劣化した部分を補修しないまま塗装をすると、どんなに素晴らしい塗料でもすぐに不具合を発生させてしまう可能性があります。
また、素地に合わせて適切な下塗り材を選定することも、上塗り材の性能を発揮させるために重要な役割りをします。高品質な塗装工事はこの下地処理で決まるといっても過言ではありません。