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藤吉 崇史
防水工事では、防水層を形成する前に「下地処理」と呼ばれる作業を行います。
下地調整や素地調整など言われることもあり、防水工事を行うにおいて、非常に重要な工程となります。
このページでは、防水工事で行う下地処理の目的や作業内容、下地処理が不十分だと起こりうるトラブルなどについて説明いたします。
下地処理とは、下地と新たに施工する防水層がしっかりと接着するよう、下地の状態を整える作業のことです。作業内容はいくつかあり、高圧洗浄やケレンなどの工程に分類されます。
下地処理は、防水層を長く維持するために必要な処理です。
もし下地処理を怠ると、施工後に防水を維持することが出来ず、不具合が発生する可能性が高くなります。
下地処理の作業内容には、主に以下のような工程があります。
高圧洗浄機を使用して、防水面に付着している砂やホコリ、コケ、カビなどの汚れを除去します。
また、密着した汚れは簡単には取れないので、丁寧に洗浄することが重要です。
劣化の度合いや工法の種類によっては、防水層の撤去が必要になる場合があります。
ただ、現在は環境面の配慮から、既存の防水層を残した状態で施工を行う「かぶせ工法」が主流になっており、かぶせ工法であれば既存の防水層を撤去する必要はありません。
ケレンは、防水層を撤去した後に行う下地処理です。
スクレーパー等を使用して下地を研磨し、目粗しを行います。
目粗しとは、塗料や防水層の密着性を高めるために、あえて細かな傷を付ける作業のことで、高圧洗浄と同様に重要な処理になります。
屋上のモルタルには緩衝目地が存在します。
緩衝目地は、温度変化によってモルタルが膨張・収縮した時に、モルタル同士がぶつかり合ってヒビが入らないようするクッションのような働きがあります。
古い目地を撤去しないまま施工すると、経年劣化でクラックが入り雨漏りの原因になります。そのため、古い目地の撤去と清掃を行い、新しいシーリングを入れることが重要となります。
髪の毛程度の細さのヘアクラックであれば問題ありませんが、0.3㎜以上のひび割れは補修が必要になります。
放置しておくと防水層を破断させ、雨漏りの原因となります。
正しい修繕としては、コーキング材が奥まで入り込むようにVカットやUカットと呼ばれる方法でひび割れ周辺を削り、そこにコーキング材を充填して防水処理を行います。
ノロ引きとは、セメント・樹脂・水を混ぜ合わせて作られた樹脂ノロを、下地に塗布する作業のことです。
下地の状態に合わせて、樹脂ノロと硅砂を混ぜ合わせた樹脂モルタルを使用するケースもあります。
下地の劣化が激しい場合や新旧の防水層の相性によっては、下地を整えるためにノロ引きが必要となります。
下地処理が不十分で起こる不具合について解説します。
シート防水を行う時に下地処理が不足していると、シートの剥がれや下塗り材であるプライマーの密着不良が生じることが想定されます。
また、ウレタン防水やFRP防水などの塗膜防水でも、密着不足で塗膜の剥がれや防水機能の低下が起こります。
そして、上記の症状を放置していると内側に水が廻り始めるため、雨漏りに繋がる可能性が高くなります。さらに雨漏りが原因で、漏水個所にカビが発生する恐れもあります。
防水工事の下地処理は、作り上げた防水層を密着させるために最も重要な作業となり、どの工法でも必ず行われるものになります。
たとえ表面上きれいに仕上げても、作業を怠ると不具合が起きて、最悪の場合は雨漏りの原因にもなってしまいます。
ただ、施工後は内側が見えなくなるので、正しく行われているか確認しにくい部分と言えます。工事を依頼する際は、見積書にきちんと下地処理の記載があるかもチェックしておくようにしましょう。