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山下 文佳
スレート瓦(カラーベストやコロニアル)の塗り替え時に、屋根材と屋根材の隙間を埋めないようにするための工法として縁切り(タスペーサー工法)があります。
どんな屋根の状態でも縁切りすればいいというわけではありません。
ここでは、縁切りが必要な状況や、縁切りしないことによるデメリットなどを説明していきます。
縁切りとは、スレート瓦(カラーベストやコロニアル)の塗り替え時に、塗料で屋根材の重ね目が塗料で埋まってしまわないように、塗膜を切り離す作業のことを言います。
屋根材や屋根の形状は雨仕舞を良くするため、雨水が下に流れるように工夫されています。特に、屋根の重ね部分は隙間から雨水が流れるようになっています。
しかし、その重ね部分を塗装する際に、塗料で塞いでしまうと雨水は逃げ場を失い、屋根材の下に溜まり、釘を便って屋内に入ってしまうのです。
詳しくは下の画像をご覧ください。
縁切りは、雨水の排水に関わる非常に重要な作業です。万が一、縁切りに不備があると雨漏りが発生する原因となってしまいます。
なかなか屋根に上ることもないと思うので、そんな風になっていたのね!と驚かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
毛細管現象とは、細い管状物体の内側の液体が菅の中を上昇する物理現象を言います。
屋根材の重なり部分が塗料で埋まって狭くなってしまうと、強風時に雨が吹き込み、毛細管現象が原因で屋根材の中に雨水が入り込んでしまう事があります。
入り込んでしまった場合でも、通常は外に流れ出る構造になっているので問題ありませんが、縁切りをしていないと雨水の逃げ道を塞いでしまう為、野地板などの木材を腐らせてしまい雨漏りに繋がってしまいます。
縁切りは1回目の塗装工事では、行わないケースが多いです。理由は2点あります。
1点目は、7年~10年くらいで初めての塗装工事をする方が多く、その時の屋根は常に紫外線が当たっているため、自然に屋根が外側に反ってきて隙間が生じているからです。
ただし、カラーベストの反り方が巻反りの場合は埋まってしまので、縁切り作業が必要になるケースがございます。
2点目は、1回目の塗装では塗膜にそれほどの厚みがなく、屋根材の隙間を埋めてしまうことはないからです。
2回目以降の塗装の場合は、1回目の塗料が残っており、その上から塗装すると隙間が埋まってしまうため縁切りが必要となります。
状況にもよりますが、はじめての塗替えでは縁切りが必要ない場合が多いです。不必要な縁切りはデメリットを起こします。
・タスペーサーは接着して止めていないため、縁切りが不必要なカラーベストの場合は、隙間が広い箇所に挿入すると落下して樋を詰まらせたりする
・次回の塗替えやメンテナス等でタスペーサーの上を踏んでしまうと、簡単にカラーベストが割れてしまう
そのため、状況に応じた適切な処置が必要になります。
縁切りの工法は2種類あります。従来は、ヘラやカッターを使った工法が一般的でしたが、今はタスペーサーを入れる工法が主流です。
・使用する道具:エスパッター(金属ヘラ)やカッター
・作業内容:塗料が乾燥して固まった後に屋根との隙間を作っていく
・施工期間:2人で作業して終日かかる
タスペーサー工法と比べるとデメリットが多く、今はほとんど行わない工法です。例えば、カッターなどで削った部分が傷んでしまったり、塗装した屋根の上を踏まなくてはならないので屋根材が汚れる可能性もあります。
また、タスペーサー工法に比べて手間と時間がかかってしまうので、費用も高くなります。
・使用する道具:タスペーサー
・作業内容:1枚のカラーベストに対して15センチ間隔で2個のタスペーサーを挿入していきます。
※屋根材の形状によっては上記の限りではない
・施工期間:1人で作業して3時間程度
現在はタスペーサー工法が主流です。理由は、下塗り・上塗りとの間で挿入するため、仕上がった屋根に登る必要がなく、傷をつけてしまう恐れがないからです。また、縁切りの時間が短くなり人件費の削減になります。
タスペーサー工法の単価は、450円/㎡前後です。
1枚のカラーベストに対して2個ずつ挿入します。一般住宅の屋根で使用する場合は、700~1,000個前後のタスペーサーを使用します。
費用は約3万~5万円程度となります。
家を守るために屋根塗装を行いますが、塗装方法を間違うと後に大きなトラブルを起こしてしまう可能性があります。そのため、縁切り(タスペーサー工法)の目的をしっかりと理解したうえで、塗装工事を進めていく事が大切です。
縁切りを行うと、金額が多少上がってしまいますが、縁切りしないことで雨漏りしてしまうと補修するのに数十万以上もかかってしまうこともあります。
時には、縁切りが必要でないケースもございますので、まずは専門家による診断を受けて状況を把握した後に適切な処置を行いましょう。