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シーリング(目地)の重要性と耐用年数

藤吉 崇史

皆さんは「シーリング」という言葉をご存知でしょうか? 建築や塗装の知識に精通していないとなかなか聞き慣れないワードかもしれませんが、外壁塗装を行ううえでは非常に重要な役割を持っています。

シーリングを簡単に説明すると、サイディングの継ぎ目や窓の周りにある部材と部材をつなぐゴムなような部分です。

シーリングはどんな建物でも必ずいずれかの場所で使用され、建物とは密接な関係性があります。

家全体や外壁を支える役割を持つシーリング

シーリングは家の部材と部材をつなぐ継ぎ目の役割を担っています。

家はさまざまな部材から構成されているので、継ぎ目の存在は非常に重要です。継ぎ目の箇所がきちんと接続してないと、家のトラブルに直結することになり、強度にも大きく影響を与えます。

つまり、シーリングは家がいかに長持ちするかというポイントにおいても重要だといえます。

また、シーリングは接続箇所における“クッション”の役割も果たしており、耐久性や柔軟性にも大きく関わってきます。

そのため、塗装業者には、シーリングの施工については、他の箇所以上に気を遣ってもらう必要があるのです。

シーリングによる家を守るための役割

・地震や地盤の揺れなどによって外壁に亀裂が入らないようにする
・雨水の浸入を防ぎ、建物内部を腐食しないようにする
・建物のすき間を埋めて気密性を保持する

シーリングの種類

1液型と2液型

シーリング材にも塗料と同様、1液と2液に分類され、使用方法や価格が異なります。

1液型はそのまますぐに使用でき、自然と硬化するタイプになります。扱いやすいのがメリットですが、2液型に比べとても価格が高いので、部分的な補修や施工面積が小さいときに用いられることが多いです。

2液型は主材と硬化剤が分かれているタイプで、使用する前に専用の機械でしっかりと混ぜ合わせる必要があります。

一般的な戸建てでシーリングを打ちかえる場合は、かなりの量のシーリング材を必要とするので、価格の安い2液型を使用します。

ブリードタイプとノンブリードタイプ(NB)

ブリードとは、シーリング材に含まれる可塑剤が塗装した表面に出てきてしまい、外壁の汚れを付着させて変色してしまう現象です。

そしてこのようなタイプのものをブリードタイプと言い、施工する際は塗装した後にシーリング材を注入する場合がほとんどです。

ノンブリードタイプはブリードが起こらないタイプで、実際に施工するときは、塗装をする前にシーリング材を注入する方法になります。

低モジュラスと高モジュラス

モジュラスとは、簡単に言うと元の形に戻ろうとする力のことで、大きく分けて低モジュラスと高モジュラスに分類されます。

低モジュラスは追随性に優れているので、動きの多い一般住宅に使用され、高モジュラスは追随性が低いため、動きの少ない鉄筋コンクリートなどに使用されます。

重要だからこそ気にすべき劣化の具合

住宅におけるシーリングが果たす役割について認識していただいたところで、今度は劣化の具合について目を向けてみましょう。

長期的な建物の安全の保持のためには、シーリングが機能を維持できていることが大前提です。

ただ、家の築年数がかさむごとに紫外線や温度変化、雨、地震などによる負荷の影響を受けて、劣化やひび割れ、剥離などが生じることは避けられません。劣化が見受けられた場合は、すぐさま業者に連絡しましょう。

シーリングの劣化症状

シーリングが傷んでくる年数は、シーリングの種類によって変わってきます。

新築時は基本的に変成シリコンというシーリング材を使用している為、傷みが早いです。塗装工事後の改修(第1回目以降)に関しては、前回使用したシーリングの種類の耐用年数で異なります。

シーリングの劣化症状には、段階があります。まず第一段階が硬化です。衝撃を緩和する為にゴムみたいに柔らかかったものが硬くなり衝撃を吸収する力が衰えてきます。

次に破断が起こります。硬くなり弾力がなくなる事で細かく亀裂が入りゆくゆくは溝が深くなり裏側が見えてきます。そして次に剥離が起こります。亀裂が入りボロボロになりシーリング自体なくなってしまいます。

この様に硬化から始まり破断がおこり、最終的には剥離でなくなってしまいます。

メンテナンスに最適な時期は、硬化の段階です。ただ硬化に関しては新築から、早くて3~5年で起こってしまうのでなかなかこの段階で塗装工事を検討される方は少ないです。

塗装依頼があるのは、最終段階の剥離が起こった時が非常に多いです。正直この段階では外壁もボロボロになってしまっている事が多く、補修費用が多くかかります。

ですので最終段階ではなく、できる限り破断の状況で塗装工事を検討されたほうが、コスト的にも断然いいです。建物が傷む前に塗装工事をした方が、長く綺麗に住めるご自宅を守れるかなと思います。

シーリングが劣化するとどうなる?

シーリングが劣化すると、亀裂が生じて室内に雨や風が浸入することがあり、雨漏りの原因になります。

また、薬剤が流れ出たり、雨だれが起こったりすることによって、外壁に汚れが付着して建物の美観を損ねる恐れもあるのです。
 
さらに劣化が進むと伸縮性も失われ、スカスカになったり、外れてしまったりするケースもあるので、シーリングが裂けていたり、痩せてきている場合は、早めに補修することが大切です。

一般的なシーリング材の耐用年数は10年ほど

シーリング材の耐用年数は比較的短く、変成シリコンで10年ほどといわれています。しかも、症状が出るまで劣化が進行していても気づきにくいため、建物全体の劣化につながっているケースも珍しくありません。

シーリングは、窓や外壁に加えて、屋根などにも使用されているので定期的に点検を行うようにしましょう。

ただし、シーリング材にも種類はたくさんあり、弊社でも使うSRシール H100は約30年近くの耐久性があります。

補修方法

シーリングの補修方法には「打ち増し」と「打ち替え」の2種類あります。

打ち増しとは既存シーリングを剥がさず、上からシーリング材を足して補修する方法で、打ち替えとは既存シーリングを全て剥がし、新しくする方法です。

一般的に、劣化がそこまで進んでいない場合は打ち増し、劣化が激しい場合は打ち替えになります。

シーリング補修の流れ

シーリングの施工順序は、
1.シール撤去
2.プライマー
3.充填
4.ならし
です。

シーリングの施工で重要なポイントが養生です。シールを打った後、綺麗に直線のラインが出るようにするため、まっすぐに紙テープも綺麗に貼る必要があります。

施工前

施工前のシーリングの状態です。

シーリング撤去

既存のシーリングを撤去します。

プライマー塗布

プライマーはシーリング材と塗装表面との密着性を高め、吸収させてムラを抑える役割があります。

シーリング充填

新しいシーリング材を充填中です。

ならし

充填したシーリング材をならていきます。

施工後

紙テープをしっかり貼っているので、ラインも綺麗に出ています。

弊社で使用しているシーリング材について

弊社で使用しているシーリング材は「SRシール H100」という高耐久のもので、変成シリコンが10年前後に比べ、SRシール H100は約30年近くの耐久性があります。

外壁に使用する塗料の耐久年数が15年、20年あるものでも、シーリング材に一般的な変成シリコンを使用してしまうと、先にシーリングが劣化してしまい、高耐久な塗料を使う意味がなくなってしまいます。

シーリング材は外壁の耐久年数よりも長くするのが、建物を守るためにも大事なポイントです。

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