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島津 奨
モニエル瓦という屋根材をご存じですか?
セメント瓦の1種で、現在は生産が終了していますが、一時期多くの屋根に使われました。皆さんの家の屋根もひょっとしてモニエル瓦が使われているかもしれません。
このページでは、モニエル瓦の特徴、耐用年数とメンテナンス時期、劣化症状、メンテナンス方法と費用相場を紹介しています。
モニエル瓦の正式な一般名称は「乾式コンクリート瓦」です。モニエル社というオーストラリアのメーカーと日本企業が共同で開発したため、「モニエル」という呼び名が定着しました。
提携した日本の企業が10年ほど前に解散したので、現在は生産されておりません。
モニエル瓦は、下記3つのメリットがあります。
・陶器瓦に比べ軽量な為、地震に強い
・他の屋根材に比べて、遮熱性・防音性に優れる
・デザイン性が高い(デザインに自由度がある、色彩も豊富)
「モニエル瓦」はメンテナンスが必須で、しっかりした施工を求められる屋根材です。
モニエル瓦の原料は、セメントと川砂なので、瓦自体に防水性が全くありません。そのため、「スラリー層」という保護層を表面に形成し防水しています。
スラリー層が劣化するとカビや苔が発生しやすくなります。また、洗浄や旧スラリー層が残ったまま塗装をすると、旧スラリー層と一緒に塗装が剥がれる危険があります。
モニエル瓦は、メンテナンスさえしっかりすれば丈夫な瓦で、20年近い耐久年数があります。ただ、メンテナンスを怠っているとカビや苔、藻が生えやすいです。
メンテナンスを15年以上しないで、表面に藻や苔が目立ってきた場合は、「スラリー層」が劣化しているサインなので、メンテナンスが必要です。
スラリー層が劣化したモニエル瓦は、防水性がないので水分を吸って、破損などが発生するので、その前に塗装で防水層を作ることが重要です。
瓦自体が破損して交換が必要になっても、すでにメーカーが解散したため、新品を手に入ることは極めて難しいです。
軽微なものであればパテなどで補修できますが、瓦自体が割れてしまっている場合は交換が必要です。そのまま放置すると、さらに水分を含むので、破損や割れにつながります。
瓦がズレたまま放置していると、雨漏りの原因や屋根の下地材の劣化につながります。瓦のズレの原因は、台風や地震など様々です。
塗膜の剥離や剥がれが見られる場合は、メンテナンスのサインです。塗膜が剥離した箇所(特に北面)は、ほとんどと言っても良いほど、藻や苔が繁殖します。
チョーキングは、太陽の紫外線によって塗膜が劣化し粉末状になる現象で、触れるとチョークの粉のようなものが指に付きます。
チョーキングを放置すると、雨を吸い込みやすくなり瓦自体の劣化を進めてしまいます。
モニエル瓦の塗装は、表面のスラリー層をしっかり取り除くことが重要です。
スラリー層の上から再塗装すると旧スラリー層と一緒に塗膜が剥がれ落ちてしまう可能性があり、スラリー層を取り除くために、一般の屋根に比べて高圧洗浄を念入りに行う必要があります。
また、モニエル瓦には専用の下塗り材が必須です。専用でない下塗り材は、劣化が早く、剥離が起こる可能性があります。
費用としては、一般のカラーベストの塗装などより手間がかかるため割高になります。
葺き替えを行う場合は、モニエル瓦の生産が終了している為、他の屋根材で行います。
費用は、残材の処分費などが発生するため、屋根の大きさにもよって変わりますが、200万円以上は必要です。
また、最近人気のカバー工法はできません。
モニエル瓦は、軽量でデザイン性も高くカラーバリエーションも豊富なので、一時期は、盛んに使用されました。
現在は、新品が無いため交換することができないので、適切なメンテナンスでしっかりと長持ちさせることが重要です。
モニエル瓦の建物で、まだ一度もメンテナンスをしていない場合は、確実にメンテナンスの時期に差し掛かっています。