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知っておきたい塗料の種類とその特徴

中村 秀彦

一口に塗装といっても選ぶ塗料によって得られる効果が大きく異なります。そのため塗装を行ううえで重視する内容によって選ぶべき最適な塗料も変わってきます。

一般の方が屋根や外壁を塗装する際に、何をもっとも重視するのでしょうか?リアルな声を聞くためにアンケートを実施してみました。アンケート結果をプロの目線で解説しています。

アンケート内容と結果

質問 塗料選びの際に重要視する項目は?
回答割合 価格:14人
耐久年数:62人
耐候性:12人
審美性:12人
有効回答数 調査地域:全国100サンプル
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2015年07月14日~2015年07月28日
結果と考察 「耐久年数」と答えた人が全体の6割以上となり、1位に輝きました。塗装には決してやすくはない費用がかかるので、なるべく塗装を行うサイクルを長くするためにも、耐久年数の長い塗料を選びたいという意見がもっとも多い結果となっています。

2位以下は団子状態。2位の「価格」が14%、3位が「耐候性」「審美性」で12%と同率でした。値段はやはり重要ですが、費用だけで塗料を選んでいる人はむしろ少数派で、耐候性や審美性などにプライオリティーを置く人もいるようです。

現場のプロが「塗料の種類とその特徴」を解説!

塗料の種類と耐用年数

一般的に塗料の耐用年数は、下記の順で長くなります。

【アクリル系→ウレタン系→シリコン系→ラジカル系→フッ素系→光触媒→無機】

最も耐用年数が短いアクリル系は3~5年、一般的によく使われているシリコン系で10~15年と価格が高くなるほど耐用年数も長くなります。

さらにフッ素系は15~20年、無機は20~25年と、約20年に1度塗り替えれば大丈夫なほど耐久性に優れている塗料もあります。もちろん価格も高額ですが、金額に見合う価値はあると言えるでしょう。

水性と油性(溶剤)、1液と2液

塗料は大きく分けて「水性と油性」があり、さらにその中でも「1液と2液」に分類されます。

水性と油性の違い

水性系塗料は伸ばす際に上水(水道水)を使用するもので、基本成分である樹脂の種類によってさらに細かく分けられます。

一方、溶剤系塗料はシンナーなどの溶剤で溶かします。こちらも用いる溶剤によって弱溶剤(塗料用シンナー)と強溶剤(ラッカーやシンナー、トルエン、キシレンなど)に細分されます。簡単に言うと、水彩絵具と油絵の具のようなものです。

水性系・溶剤系塗料はともにその基本成分としてアクリル系・シリコン系などがあります。また、溶剤系は耐久性に優れていますが価格が高めで扱いにくく、水性系はその逆で作業しやすく価格はお手頃です。しかし、耐久性は溶剤系に劣るという特徴があります。それぞれのメリットやデメリットを検討して最適なものを選びましょう。

アクリル系 ウレタン系 シリコン系
水性系 価格はリーズナブルだが耐用年数に難あり 密着性・対天候性に優れ、低臭・低汚染 熱に強く、耐久性がある。低臭・低汚染
溶剤(油性)系 価格はリーズナブルで、水性系よりは長持ちするが耐用年数が短い 密着性・対天候性に優れている。低汚染だが水性よりは臭いがある 耐久性は抜群。変色・褪色や艶引けが起こりにくい

1液と2液の違い

1液型は缶を開けて水やシンナーで薄めればそのまま使用できるのもので、2液型は主剤と硬化剤を混ぜて合わせてから、水やシンナーで薄めて使用するものになります。耐久性は2液型のほうが優れており、価格も1液型に比べ高くなります。

塗料の価格

アンケート結果にもあった価格については、前述のとおり耐久年数に比例し、㎡あたりの単価がアクリル系で1,400~1,600円、シリコン系で2,300円~3,000円が相場です。耐久年数が長いものだと、フッ素系が3,800円~4,800円、最も高額なのは無機の4,500円~5,500円となります。

誰しも塗装の費用を抑えたいと思うのは当たり前のことです。ただ、金額の安さ重視で塗料を選択してしまうと、短期間でまた塗り替えの必要性が発生するなどのデメリットも少なくありません。そのため、値段だけで判断するという人は案外少ないようです。

塗料の機能

塗料には多くの機能があり、その機能も商品ごとに異なるため、塗装して得られる効果も様々です。使用する塗料で悩んでいる方は、一つの判断材料として機能面を確認してみるのもいいでしょう。

一般的な機能には、以下のようなものがあります。

低汚染性

低汚染とは汚れが付きにくい機能で、親水性と言われる水となじみやすい性質を持っているため、雨が降ると雨水とともに汚れを落としてくれます。

防カビ、防藻、防苔

日が当たりにくいところや、湿度の高い場所ではカビや藻、苔が発生しやすくなります。この機能は、それらの発生を防ぐ効果があり、建物の美観を保つことができます。

断熱性、遮熱性

断熱は建物内部に伝わる熱量を少なくする機能で、遮熱は熱を反射して遮る機能のことです。環境にもよりますが、この機能で室内の温度が2~3℃下がると言われています。

耐候性

耐候性とは、日頃から外気にさらされている建物を、紫外線や雨風から守る機能になります。この機能により、変色やチョーキングなどの発生を抑えることができます。

アンケートに答えてくださった方の声 一覧

耐用年数を重視する方

◆できるだけ長持ちする方がいいので、耐久年数の長い塗料を選びます。業者に何回も塗り直し依頼するのは面倒に感じます(30代/女性/専業主婦)

◆何回も塗り直すものでもないと思うので、見積もりや依頼を複数回こなすことに手間を感じます。耐久年数の長い塗料がいいと思います(50代/女性/専業主婦)

◆多少、費用がかかっても耐久性の高い塗料を選びたいです(30代/女性/専業主婦)

◆家の塗装を行ったら、当分はそのままの状態をキープしたいので、耐久年数が大事だと思います(50代/男性/自由業・フリーランス)

価格、耐候性、審美性を重視する方

◆できるだけ安いほうが、また塗装が必要になったときに塗り替えやすいから(40代/男性/自営業(個人事業主))

◆飽きっぽく塗装後に気分転換で違う色に塗り替えたくなるかもしれないので、価格が安いほうがいいかなと思いました(30代/女性/会社員)

◆耐候性を一番重視します。外壁が再び劣化してしまっては何の意味もないと思います(40代/男性/自営業(個人事業主))

◆どんな塗料でも経年劣化は避けられないので、取りあえず見た目の美しさを優先します(40代/女性/自営業(個人事業主))

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