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光触媒塗料の特徴と単価

山下 文佳

一時期人気のあった光触媒。この塗料の特徴であるセルフクリーニング効果というメリットにのみ目を向け、塗料選定をしてしまうのは非常に危険です。

画期的な性能を持った塗料にも関わらず、一部のメーカーでは販売中止となった光触媒のメリットやデメリット、グレード、特徴について説明しています。

光触媒塗料はどんな塗料なのか?

光触媒塗料とは、酸化チタンを原料として、紫外線や光を受けると表面の塗膜が汚れを分解して、浸水性能で雨が流れるだけで汚れを洗い流すことできます。この機能をセルフクリーニング効果といいます。

その為、汚れが原因で紫外線が集まりやすくなるという劣化の原因を抑えたり、空気中の汚れやにおいが付きにくくなる点から、劣化そのものがしにくくなるという特性を持った塗料です。

メリット

・セルフクリーニング効果により経年による汚染から守れる

・セルフクリーニング効果により除菌効果や防カビ効果なども期待できる

・空気の清浄効果がある

・16年~20年程度の高い耐候性がある

デメリット

・紫外線の当たらない箇所の汚れは落ちにくい

・砂や火山灰、サビなどの無機物や強固な汚れに対しては効果が発揮されない可能性がある。

・他の塗料に比べて施工が難しい為、施工不具合が起きやすい

・塗料の単価が高い為、塗装工事自体の費用が高くなる

・施工工程が1つ増える為、他の塗料に比べ工期が長くなる

・屋根・一部の外壁には塗装が出来ない

・色やツヤの種類が少ない

・光触媒塗料の上に塗装を行う場合、専用下塗り剤が必要になる。

光触媒塗料の施工単価(m2)はいくらくらいか?

4,200~5,000円です。

弊社で光触媒塗料を選ばれるお客様の割合

過去1年間に塗装した中で、グレード別の割合は、アクリル0%(ピュアアクリル:25%)、ウレタン0%、シリコン25%、ラジカル制御5%、フッ素3%、光触媒0%、無機塗料7%、無機ハイブリット系塗料35%です。

オススメできない塗料グレードです。

近年では化学が進歩して、光触媒を上回る高性能塗料が出ています。そのため、高単価で取り扱いの難しい光触媒を選ぶ必要性がないのでオススメできませんん。

TOTOのハイドロテクトコートについて

ハイドロテクトとは、光の力で建物や環境などを浄化するTOTOのオリジナルブランドです。2000年より販売を開始し、高い機能性を持っており徐々にシェアを上げていました。

しかし、風の強さや湿気などに左右される繊細な塗料であり、施工方法も難しかった為、品質維持が難しく、クレームやリコールが増えたことにより2017年6月26日で生産・販売中止となりました。

代表的な光触媒塗料

・ピュアコート(ピアレックス):単価3,000~3,500円
・K2コート K2C Masters:単価2,800~3,000円

光触媒塗料に関するよくある質問

Q1.塗装が難しいと聞いたのですが、本当でしょうか?

本当です。販売中止となったTOTOの「ハイドロテクトコート」は、はじめは施工認定制度を取っており、認定した会社でしか扱うことが出来ませんでした。

後々、どこの会社でも扱うことができるようになりましたが、施工の知識や技術を非常に要する塗料である為、正しい施工を行わなければ光触媒の性能を発揮しない場合がありました。

Q2.不具合が多いと聞いたのですが、本当でしょうか?

本当です。前問で述べたように光触媒は施工が難しく、風の強さや湿気などに左右される繊細な塗料です。その為、正しく施工を行わなければ、著しく色ムラが出てしまったり、セルフクリーニング効果を発揮しない場合がある為不具合が出やすい塗料です。

また、浸水性が良い為、室内の湿気を逃がしやすいので、外壁からの湿気を室内に取り込みやすくなり外壁自体を痛めてしまう可能性が高くなります。

Q3.1度光触媒で塗装すると、次も光触媒で塗装しなきゃダメと聞いたのですが、本当でしょうか?

間違っています。光触媒の性質上、他の塗料と同じように塗装を行うと、塗膜が密着せず剥がれていきてしまいます。現在では光触媒への再塗装に適応した下塗り材が発明されており塗装が行えるようになっています。

Q4.最初から光触媒が塗装されている外壁材は塗装ができないと聞いたのですが、本当でしょうか?

間違っています。こちらは施工のタイミングの違いのみであり、全問で述べたように他の塗料と同じように塗装を行うと、塗膜が密着せず剥がれてしまうので専用下塗りを使用する必要があります。

重要なのは最初から塗装されている場合にどの塗料が使用されているかを知る事です。

まとめ

光触媒が持つ紫外線や光の力で汚れを浮かして、雨水で流すというセルフクリーニング効果は、塗装工事を行う上で綺麗な建物のままで保ち続けたい方にとっては非常に嬉しい性能です。

しかし、光の当たらない汚れには性能を発揮しない、他の塗料に比べ工程が増えるため工期が長くなる、施工を行う者の技術によって仕上がりが左右される等デメリットも多い塗料になります。

また、現在の建物に光触媒が塗装されていないのかを確認することも重要なポイントです。仮に、光触媒が施工されているとは知らずに専用下塗り材を使用せず塗装を行った場合は、塗装後の塗膜剥離等に繋がる恐れがございます。

その為、メリットだけでなくデメリットの理解と、現在の塗料に何が使用されているのかを把握した上で慎重に塗料選定を行うべきです。

現段階では、他のグレードの塗料でもセルフクリーニング効果や価格帯、耐久性において優れている塗料がありますので、専門店としましては光触媒塗料をオススメしません。

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