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藤吉 崇史
最近、外壁洗浄を行う業者が増えています。外壁洗浄は、建物の外壁に付着した汚れ・苔・カビなどを洗い流す作業です。
「今は外壁塗装にお金をかけられない」「できるだけ費用を抑えて建物を綺麗にしたい」という方にとっては、良い選択肢に思えるかもしれません。
しかし、必ずしも外壁洗浄で建物の美観が向上するとは限りませんし、むしろ劣化が目立ってしまう可能性もあります。
今回は、外壁洗浄を行う目的や注意点などを解説していきます。プロの目線から外壁洗浄をオススメできない理由もご説明いたしますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
外壁洗浄とは、高圧洗浄機や専用の薬剤を使って建物に付着した汚れやホコリ、排気ガス苔、カビなどを洗い流す作業のことです。基本的に、軽度な汚れに効果的な方法となります。
外壁洗浄を行うメリットは、工期や費用を抑えて建物の見た目を改善できる点です。特に、日当たりの悪い場所は苔やカビなどが生えやすいため、汚れを除去することで建物全体が明るく清潔に見え、印象を大きく変えることもできます。
汚れや苔を放置していると美観が損なわれるだけでなく、建材の劣化が進行したり、雨漏りリスクが高まる可能性もあるため、建物を清潔に保つことはとても大切です。
しかし、安易に外壁洗浄を行ってしまうと、かえって汚れが目立ってしまう恐れがあるため、注意が必要です。
また、洗浄だけでは、劣化の根本的な原因を解決することはできないので、外壁洗浄のデメリットや注意点をしっかりと理解しておくことが重要となります。
洗浄をして汚れが落ちたことによって、ひび割れや塗膜の浮き・剥がれなどがはっきりと見えるようになり、逆に劣化部分が目立ってしまうケースがあります。
汚れやコケなども美観を低下させる原因となりますが、ひび割れや塗膜の劣化も建物の美観に大きな影響を与えます。
汚れを落とすことで、本来隠れていた劣化が表に出てきてしまう可能性があることは覚えておくようにしましょう。
外壁洗浄は、ただ表面の汚れを落とす作業ですので、チョーキング現象や浮き・剥がれ、色あせといった劣化による美観の低下は改善されません。そのため、「思っていたよりも綺麗にならない…」というようなケースもあります。
チョーキング現象とは、外壁に白っぽい粉が付着する現象のことで、塗膜が劣化して粉状になっている状態です。
洗浄だけでは塗膜の劣化を回復させることはできないため、劣化によって生じるチョーキング現象を抑えることもできず、さらにチョーキングの粉による美観の低下も止められません。
また、すでに塗膜の浮きや剥がれ、色あせが発生している場合も、外壁洗浄だけでは解決できません。洗浄で綺麗になるどころか、水圧によって剥がれがさらに進行する恐れもあります。
洗浄の目的は建物を綺麗にすることかと思いますが、洗浄だけですべてを綺麗にするのは難しいです。
前述のとおり、チョーキングや浮き・剥がれ、色あせなどの劣化は、外壁洗浄だけでは直りません。
見た目が良くならないばかりか、場合によっては劣化範囲が拡大する可能性もあります。
劣化を放っておくと建材や下地の腐食、雨漏りの発生などのトラブルに発展するため、塗装によるメンテナンスが必要不可欠となります。
ご自身で高圧洗浄機を使って洗浄したり、知識の少ない業者に依頼をすると、高圧洗浄機の水圧によって外壁材やコーキング材を傷つけたり、既存の塗膜まで剥がれ落ちてしまう恐れがあります。
さらに最悪の場合は、ひび割れなどの劣化部分や通気口から水が浸入し、内部の下地ダメージを与えたり、雨漏りを引き起こす危険性もあります。
高圧洗浄によるリスクを回避する為にも、業者選びの際は「外壁洗浄だけだから」と軽く考えずに、業者の実績や口コミなどもしっかりとチェックしておくことが大切です。
洗浄自体は、塗装よりも費用が安く済みますが、いずれは塗装工事が必要となるため、結局は「外壁洗浄」と「塗装工事」の費用がダブルでかかってしまうことになります。
また、洗浄による効果は一時的なもので、数年ですぐに汚れが付着するため、その都度費用をかけて洗浄を行うのも現実的ではありません。
このように、長期的な視点ではコストがかかる可能性が高いと言えます。
塗装は費用がかかる工事ですが、劣化部分を改善して綺麗に塗り直すことができ、さらに塗膜の耐久性を回復させることができるため、美観や性能の向上において塗装が一番の近道と言えるでしょう。
高圧洗浄機には通常のタイプと「バイオ洗浄」と呼ばれるタイプがあり、バイオ洗浄であれば専用の薬剤を散布することで非常に頑固な汚れやカビ、苔などを除去することもできます。
通常の高圧洗浄の費用は、1㎡あたり100~200円、バイオ洗浄は1㎡あたり200~300円が相場です。
一戸建て住宅では、通常の高圧洗浄で約15,000~30,000円、バイオ洗浄で約30,000~45,000円程かかります。
ただし、費用は実際の外壁面積や形状、劣化状態などによって異なります。
外壁洗浄が向いているケースを挙げるとすれば、「築5年未満で劣化しておらず、苔が酷いだけの建物」です。
築年数が浅く塗膜がしっかりしており、劣化もみられない場合であれば、洗浄をしても劣化が目立つこともなく、綺麗な状態を取り戻すことができる可能性があります。
反対に築年数が浅い建物でも、苔以外にも頑固な汚れや塗膜の劣化が起きている場合は、外壁洗浄だけでは問題を解決するのは難しいでしょう。
軽度な汚れであれば、自分で洗浄しようと考えている方もいるかと思います。その場合は、ホースなどで外壁に水をかけるだけでも、ある程度の汚れやホコリを取ることができます。
また、水で落としきれない部分はブラシやスポンジを使用するのも効果的です。ただし、ブラシやスポンジを使用する場合は、強く擦って建材を傷つけないように気を付けましょう。
さらに、必要に応じて洗剤を使用するケースもありますが、その際は洗剤が残らないようにしっかりと洗い流すことが重要です。洗剤が残ると、変色やカビなどの原因となってしまいます。
家庭用の高圧洗浄機であれば、頑固な汚れでも短時間で高い水圧で汚れを除去することが可能です。
ただ、扱いに慣れていない場合や外壁材の状態によっては、塗膜や建材を傷つけてしまう恐れがあるので注意しなければなりません。
また、目地部分などの隙間やクラックから水が入り込むと、建物内部に大きなダメージを与えてしまい、建材の腐食や雨漏りの発生などに繋がってしまいます。そのため、高圧洗浄を使用する際は、正しい知識を持って行うことが重要です。
外壁洗浄は、ある程度の汚れや苔を除去することはできるかもしれませんが、根本的な劣化の解消には繋がりません。剥がれやチョーキング現象などの劣化症状が見られる際は、塗装によるメンテナンスが必要となります。
また、費用を抑えて綺麗にしたいとお考えの方は多いかと思いますが、外壁洗浄だけで済ませると、かえって劣化部分が目立ったり、外壁材やコーキング材を傷つけてしまう可能性もあります。
外壁洗浄をご検討中の場合はしっかりとメリット・デメリットを理解し、信頼できる業者と相談しながら、必要に応じて塗装や補修といったメンテナンスも行うようにしましょう。